【小説】東の果て、夜へ
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【小説】東の果て、夜へ
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ほぼ全編時系列に展開される。組織のボスから殺人の命令を受け主に十代半ばのグループが旅立っていくクライムノベル。
若さゆえの未熟さ、青臭さ、虚勢、不器用さ。脆く危うげな一触即発の軋轢に満ちた仲間たち。大きな不安。
全てが恵まれた条件でない環境で、まだ見ぬ初めての外界に旅立ち社会に揉まれていく。
新しい経験の数々。社会の洗礼、未熟さ故の風当たり、理不尽、それらを決して悲観的に絶望せず等身大で受け止める主人公イースト。
無常で過酷な旅(人生)の中から、人の出会いと別れ、残るもの、失うものを、主人公の成長と共に描いている。
犯罪という目的以外を除いたシチュエーションは、誰にでも起こり得る大人になるための通過点。
まさに、誰もが経験しうる(経験してきた)肉体と魂の彷徨ともいえるのではないだろうか。
それ故に、読者は主人公イーストに感情移入し、その愚直なまでに命令にひたむきな主人公の先の見えない行く末を見守りたくもなるのだと思う。
ある者は現在進行形の自分、ある者は過去の自分と照らし合わせて。
壮大なアメリカ東西2000マイルにも及ぶ自然や人々の暮らしを交え繰り出される若者たちのドラマ。
ビル・ビバリーのデビュー作にして傑作。
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