site_review: 2021-12-13 05:05:30.460558 【漫画】風の谷のナウシカ

【漫画】風の谷のナウシカ

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【漫画】風の谷のナウシカ


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昔の文献で宮崎駿監督は、漫画家になるには才能がないので諦めてアニメーターになったと語っていた。しかし、この宮崎駿監督の漫画「風の谷のナウシカ」は恐ろしいほど才能に満ち溢れている。一体、当時の宮崎駿監督はどんなハードルを自分に課していたのだろうか。

宮崎駿監督は、元々絵コンテ作業で、シーンの特徴をとらえた構図を高品質で大量生産してきた経験と実績と才能がある。それは、漫画のコマ割りにも通じるものがあるのだろう。すごく自然で状況説明がうまい。無駄なコマなど一つもなく、自然と人物の複雑な立ち位置、俯瞰した周囲の状況がスイスイと頭に自然と入ってくる。
特に圧巻なのは、コミック第3巻のトルメキア軍と土鬼兵の騎馬戦だ。ナウシカらトルメキア軍が飛空挺でさらに土鬼軍の首都へ向かうために、周辺に配置された敵軍の高射砲、砲台を騎馬隊で一掃する場面である。
場面的にも、映像化すら難しい各軍入り乱れ騎馬によるスピード感溢れる白兵戦を、見事な流れるようなカット割と、躍動感あふれる描写で見事に描き切っている。
その中にも、主要人物らのドラマが織り交ぜられており、戦闘の厳しさ、無情さをまざまざと読み手に突きつけ考えさせてくれる。
このような重厚なテーマ性を持ちながら、複雑な群像劇を描き切っている漫画を今まで見たことない。まさに、前人未到なハイレベルな描写であり、出版から数十年経った今でも、これを超えるシーンを私は見たことがない。

全巻を通しても一貫した重厚なテーマ性と骨太なストーリー。
コミックはわずか7巻だが、恐ろしく密度が濃く、1冊読み終わるだけでも、心地よい疲労感に見舞われるだろう。 
風の谷のナウシカは、映画であまりに有名だが、映画終幕後の本当の世界のラストを見たいなら、漫画版を是非読むべし。


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