site_review: 2021-12-10 05:01:01.733785 【映画】TENET

【映画】TENET

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【映画】TENET


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●初見殺しの難解映画?
ノーラン史上最難解映画と自他共に公表されていますが、きちんと論理的に組み立てて行けば全容の理解は問題なくできます。
作りが素晴らしいのは全く無の状況から理由や状況を憶測しろと投げているわけでなく、必ず劇中のシーンの一部やカットにプロットが織り込まれて居ることです。つまり、映像による視聴を重ねていくことで、より理解が深まって真実が見えていくことが可能なのです。
これは、過去のノーランの映画すべてに言えます。きちんと理にかなった編集による優しいサポートがされているので、難解とも言える映画でも受け入れてくれるファンが多いし、そのジャンル(視聴を繰り返し考察する系)を踏襲し続けていけるのでしょう。
ただ、映画のテンポを崩さないために、ヒントの映像、カットにおいても、誇張して長伸ばししたり強調しすぎはせず、他のシーンカットと粒度を同等に扱って居る点が、それを拾えない人にとって難易度を上げていると考えられます。

●どんな映画?
「エントロピーが減少すると時間を遡って見える」という理論から、時間の逆行を可能にした未来技術が現代に送り込まれた事から壮大な戦いが始まります。
逆行世界に入ると、熱反転して炎で凍傷になったり、走ると後ろから風が来たりする。空気は肺に入らないので、独自の酸素ボンベの装備が必要。
時間の順行は赤(時間は過去から遠ざかるという意味で赤方偏移?)、逆行は青(時に逆らい過去に近づくという意味で青方偏移?)という感じで、人の装備服や、部屋などが色分け配慮されて居るので、今は順行者の時系列、今は逆行者の時系列、今は逆行者を順行者側から見て居る、など視覚的に見分けやすくしている。あと、逆行者は酸素ボンベをして居る。最初は混乱するかもしれないけど、慣れてくれば問題ありません。

回転ドアみたいなオーパーツ装置で時間の順行と逆行を切り替える。
未来からの逆行と順行が一点に重なった時の表現が2通りあり、順行から逆行に切替わる場合は、その様を順行で見ていたら順行と逆行の同一人物が装置内に同時に吸い込まれて消失してしまうように見え、逆行から順行に切替わる場合は、同一人物が装置内から順行と逆行で同時に突如現れる(同一人物が二人に別れたように見える)。そのため、その回転ドア装置から入って出てくる一連の人の動きの情景も面白い。それを使ったトリックもストーリーに盛り込まれている。これが、一部の人やモノであるから問題ないように見えるが、世界全体を逆行できるアルゴリズムと呼ばれるオーパーツで世界全体を順行から逆行に変えたら、本来の順行での世界が消失してしまうわけなので、それを阻止するのが映画の本題。

時間に順行する人間と、逆行する人間が同時に混在し戦闘を行ったり、未来から逆行してきた人から情報を得てそれを生かして順行で戦略を立てるなど、まだ誰もやっていない新しいアイディアの挑戦を映像で表現するなど、密度の濃い2時間半。次々と新しい新体験が凝縮して押し寄せるSF大作。
冒頭でのオペラ劇場を舞台の激戦で見る側を虜にしつつ、徐々にtenetの仕組みがわかりクライマックスへと壮大な戦いと舞台が広がっていく構成的にも見事なエンタメ。
久しぶりに、映画を見終えた後の心地よい疲れと、考察欲を掻き立ててくれる傑作。

~ややネタバレ~
●初見では、シーンごとの目的を拾いにくい。主人公達は何をして居るのか置いてきぼりにならないためのメモ
・冒頭オペラ劇場:逆行技術アルゴリズムの一部であるプルトニウム241の回収(主人公はまだ、単純にプルトニウムだと思って居る)
・インド・ムンバイ:研究施設での逆行弾丸の素材がインド産だったので武器商人にコンタクト
・空港:キャットにセイターを紹介してもらうために、キャットの弱みであるゴヤの贋作を処分する
・タリンのカーチェイス:プルトニウム241はオペラ会場で一度奪取したが損失しウクライナ保安庁に渡っていたため再奪取する>セイターに奪われ、アルゴリズム全て9つ揃ってしまう
・空港2:逆光弾を受けたキャットを逆行での回復と順行に切り替わるため空港の逆行装置を目指す
・スタルスク12:セイターの指示で爆発によりアルゴリズムを地下に埋めて封印したので、時間を遡って爆破前に奪還する

●描写難易度の高いタリンのカーチェイス
・青の部屋でキャットが撃たれた時、彼女は順行なのにマスクをしていた理由
 >青の部屋は逆行でもマスクなしで呼吸ができる仕組み。つまり逆行の空気で満たされていたので、順行の彼女はマスクが必要だった。
・プルトニウム241は結局どこへ?
 >順行でBMWに乗った主人公らが逆行Audiに空のケース、逆行Saabにプルトニウム241を投げ込んでいる。
 つまり、その後逆行に切り替わった主人公は、Saabを運転する前に後部座席にプルトニウム241があるのに気づく。その結果を得るために、その原因を作るための逆行による行動をした。更に言えば、その行動中にプルトニウム241争奪戦に一矢報いたかったが、結局因果の呪縛からは逃れられなかったのだ。
セイターがプロトニウム241を直接手に入れる場面は、映画のシーンに描かれていないが、以下のいずれかの方法で入手したと考えられる。
方法1:順行で主人公らがカーチェイス作戦中に謎のエストニア語の逆回転通信を拾っていた描写があった。それは、逆行で事の顛末をすべて知り得たセイターが、順行のセイターに、青と赤の部屋のある港に止めてあるSaabにプルトニウム241があることを伝えていたのだ。
方法2:逆行Saabが横転した後、事の顛末を知った逆行セイターは再び順行に入れ替わり、主人公が逆行でSaabに乗る前の時間まで遡り、Saabからプロトニウム241を持ち去る。
いずれにせよ、そのため、全てアルゴリズムが揃ってしまうのだ。


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